私がヨガとピラティスの現役インストラクターだった頃、お客様の体の悩みナンバー1が肩こり、それと並ぶ位多かった悩みが腰痛でした。
厚生労働省の調査でも年々増加傾向にあると言われている腰痛は、症状がひどくなると日常生活にも支障をきたしてしまうこともあります。そのつらい腰痛の原因や解消方法について詳しく紹介していきます。
Contents
背骨の構造について
人間の背骨を横から見ると、自然なS字のカーブの形を描いています。
4本足の動物の場合、背骨が水平で腰への負担はそれほど大きくありませんが、2本足で立つ人間の場合は背骨が垂直になり上半身の重みを支える腰に大きな負担がかかってしまいます。なのでその負担を分担するために、S字カーブが衝撃を吸収しくれているのです。
さらに背骨は上半身を支えるだけでなく、曲げたり伸ばしたりひねったりという動きに対応できるようにしなやかな構造になっています。
上の図のように、背骨は頸椎、胸椎、腰椎と全部で24個の椎骨からなっていて、あいだにはクッションのような動きをする軟骨性の椎間板を挟んで積み重ねた構造になっています。
椎間板の役割
椎間板があるおかげで、伸縮性があって曲げたり伸ばしたりの動きが出来る上、脊柱にかかる衝撃を吸収し、それを和らげるという役目も果たしてくれています。
しかし椎間板は老化が早く、25歳を過ぎる頃から徐々にそのクッション効果が弱まってしまいます。
腰痛の主な原因
腰痛の原因として3つが考えられます。
- 骨・筋肉・椎間板などの障害
- 内臓・血管の病気
- 心因性の場合
腰痛の原因ははっきりと特定できることはわずか15%程度といわれています。そのため職業、生活習慣、ストレスなど様々な要因が複雑に合わさることが多いのが腰痛ですが、特に多いのが1の「骨・筋肉・椎間板などの障害」となります。
骨・筋肉・椎間板などの障害については以下のようになります。
①運動不足、筋肉退化による筋力低下
運動不足で背骨や土台となる骨盤の周りにある上半身を支える筋肉(インナーマッスル)の筋力が衰えると、正しい姿勢が保てなくなるために腰椎に負担がかかり、腰痛を起こしやすくなります。
②長年続いた悪い姿勢や無理な動き
体に負荷のかかる重労働、特に前かがみで重たいものを持ち上げる作業の介護や看護の職場で腰痛は多いとされています。逆に同じような姿勢をとり続けるデスクワークにも腰痛が多く発生しています。そのように重労働や長時間座っていたり、立ちっぱなし、中腰、猫背など、無理な姿勢を続けると、時間の経過とともに筋肉の疲労が積み重なり、血行も悪化し腰に痛みが起こってしまいます。
③骨・筋肉・椎間板などの代表的な障害
代表的なのは、ぎっくり腰と呼ばれる腰仙部挫傷(ようせんぶざしょう)、椎間板の一部が神経を圧迫して起こる椎間板ヘルニアです。
ぎっくり腰は急にきてしまうので、なってしまった時はまずは横になって休み、痛みがひくまで安静にしましょう。
④女性特有の腰痛
妊娠中は大きくなったおなかを支えるために上体を反らせる姿勢になることが多かったり、子宮がおおきくなることで骨盤の周りの筋肉が引っ張られることも腰痛になりやすくなる原因になります。また、更年期になると体内のホルモンバランスの乱れから腰痛を引き起こしやすくなることもあります。
内臓・血管の病気、心因性の場合
腰痛を引き起こす内臓・血管の病気は、かぜ・消化性かいよう・腎臓・尿管の尿路結石などです。
さらに腹部大動脈瘤、血管の閉塞が原因で腰に激しい痛みが起こることもあります。突然に始まり冷や汗を伴う腰痛は至急救急車を呼びましょう。
また、女性の場合は子宮筋腫・子宮がんが腰の痛みの原因になることもあります。痛みが長引くようなら、やはり医療機関を受診することをおすすめします。
心因性の場合については、精神的ストレスが原因の場合もありますから、いろいろと検査をしても原因となる異常がみつからない場合、心療内科・精神科の受診が必要となることもあります。
医療機関を考える目安としては、「姿勢を変えるなどしても痛みがとれず、むしろひどくなる」「しびれがある」「発熱を伴う」「意識を失ってぼうっとする」場合です。
腰痛の予防・改善方法
姿勢に気をつける
長時間のデスクワークなどで猫背を続けるなどをしていると腰に負担がかかります。よい姿勢をこころがけて腰に負担をかけないようにしましょう。
インナーマッスルを鍛える・ピラティスもおすすめ!
体を支えるインナーマッスルの筋力が弱くなると正しい姿勢をとることが難しくなり、腰痛の原因になります。体幹を鍛えて背骨の負担を軽くしましょう。
腰痛予防のためにインナーマッスルを鍛えるのには、元々リハビリ目的からうまれたピラティスがとてもおすすめです!
ストレッチをして柔軟性を保つ
腰痛の予防には、無理な姿勢で凝り固まった筋肉を柔らかくしておくことも大切です。自分が気持ちいいと感じる体操を無理なく取り入れてみて下さい。
お手軽簡単にできるラジオ体操もおすすめです。
同じ姿勢を長時間とらないようにする
作業中も同じ姿勢を長時間とらないように、時々休憩して体を軽く動かし、緊張状態が続いた筋肉をほぐしましょう。デスクワークの方も1時間に1回は立ち上がって、軽いストレッチを入れると効果的です。
リラックスする時間を持つ
お風呂に入ってリラックスすることも、凝った筋肉を解すためにも精神的にも効果的です。40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくりと入浴することは、血行をよくして筋肉の緊張をほぐします。
重いものは力任せに持ち上げない
重いものを持ち上げるときは、中腰で力を入れたり、腕の力だけで持ち上げたりせずに、しゃがみ込むように腰を落としてお腹に力を入れてゆっくり持ち上げるようにしましょう。
カルシウムをとろう
閉経後の女性には骨粗しょう症で骨がもろくなり、圧迫骨折を起こす人もいます。そのため、背中が曲がるなどして、背中から腰にかけて痛みが起こります。若いうちからカルシウムを十分にとって、骨を丈夫にしておきましょう。
スイミングや水中ウォーキング
スイミングも腰痛に最適な運動です。浮力の働きによって腰に体重をかけずに体を動かせます。プールで水中ウォーキングもおすすめです。
太りすぎないように
太っていると、より腰に負担がかかってしまいます。適切な体重をこころがけましょう。
痛み方で原因をさぐる簡単な方法
動くと痛む
安静にしたり、姿勢を変えたりすると痛みはないが、動くと痛む場合…ぎっくり腰や椎間板ヘルニアが考えられます。
動かなくても痛む
安静にしていても痛む場合…腎臓・尿管の尿路結石、腹部大動脈瘤などの病気が考えられます。
関連痛
腰だけでなく、他の部分も痛む場合…消化性かいよう、子宮筋腫血管閉塞症などが考えられます。
まとめ
腰痛は普段の生活習慣が深くかかわるので、まずは姿勢や習慣を見直してみて下さい!
また腰痛があると動くのもおっくうになってしまい休日も体を動かさないでいると、より筋力が落ちてしまいます。ぜひ無理しない程度にストレッチや軽い運動も取り入れてみて下さいね。